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1986年度(昭和61年度) | 資料集 | 大分県産業科学技術センター

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(1)

昭和61年度 研究報告 大分県工業試験場

三次元測定機における温度

環境による測定誤差の検討

臣雄俊

幸英裕

藤山塚

後本大

機械部機械科

j .一 はじめに

三次元測定機は,金型等の立体的な寸法や形状を

簡単かつ迅速に測定することができるので,生産現

場への普及は今後とも増えるものと思われる。

ほとんどの二次元測定機は,1〟m

あるいはそれ

以下の分解能を持つスケールを内蔵しており,最近

のように0.1〃m

デジタル表示のものまで見られる

ようになると,測定結果もそれだけの精度を持って

いると期待しがちであるが,他の測定器に比べて

ⅩYZ軸等自由度が多いことや,アッベの原理を満足

していないなど誤差要因が複雑に絡みあい,実際に

は表示の精度からほど遠いこともあり得る。

三次元測定機の測定値の精度は,スケールの誤差

やⅩYZ軸間の運動誤差などの機構上の要因と,温

度や湿度などの環境条件による誤差によって決ま

る。前者はメーカ」側に委ねるとして,ユーザー側

としては後者の環境条件,特に温度の影響が重要な

ものとなるが,生産現場への普及が増えるにつれ, 必らずしも理想的な環境下で測定できるとは限らな

くなるから,温度の変化がどの程度,どのように測 定値に影響を与えるかを把握しておくことは重要と 考えられる。

ここに温度環境の測定値に与える影響をみるため に次のような実験を行った。

取った。

又,試料を直接グラプレート上に設置した場合と,

点接触3点支持で空間に置いた場合についても比較

した。

ブラプレート

図−1試料の形状と設置方法

3。実験結果と考察

(1)試料を高,低温度域から恒温宴へ搬入した場 合の変化

暑い時期や寒い時期に,工作室と測定室に温度差

がある場合や,直接外気温から恒温室へ試料を搬入

してすぐに測定すれば,当然測定値に誤差が生じる

ことは考えられる。

図−2は,350Cと5CCの炉内に一昼夜保持した試料

を20±

10Cの恒温室へ搬入し,直接グラブレート上

に設置した場合と空間に支持した場合について,LC −1の測定値の時間経過による変化を示す。 2。実験方法

使用した三次元測定機はM

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l OO6型(10()0×800× 800mm)ジョイスティック付。

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m

のタッチプローブにより,図1に示すよう

な形状に加工したSKD

=材の4つの穴の中心間

距離を,試料の温度や測定室の温度を変化させて測

定し,各条件下における測定値の変化の様子を読み

(2)

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図−2 試料を高、低湿度城から恒温室へ搬入した場合

35〇C,50Cともに恒温室に対する温度差は150Cで

あり,それぞれ搬入と同時に収縮あるいは伸びてい

るのがわかるが,グラプレート上に直接設置した場

合は80∼100分で測定値のバラツキの範囲内に入っ

て来るのに比べて,空間支持の場合は200分程度を要

している。これはすでに室温に保たれているグラプ

レートからの伝熱効果によるものと思われる。

穴の開いていない同じ大きさの材料を常温常圧下

の静止空気中に置いて表面温度と気体の温度差15ロC

を与えた場合の放熱(蓄熱)による温度変化は,計

算上抑図Ⅶ3のようになるが,今回の空間に支持し

た場合の温度による測定値の変化はこれにおおよそ

類似した形態を描いている。実際の測定の場合に試

料の形状あるいは試料の設置の仕方により,測定室

温になるまでの時間に大きな差を生じることがわか

る。

2 3 4

時 間(上汀)

J 6

図−3 板材の理診上温度変化1)

(2)試料温度のみを一定に保ち測定室の温度を変 化させた場合

図一4は試料を20±0.50Cに保った恒温水槽に浸し ておき,測定時(測定時間的1.5分)のみ取り出して

測定室温度を260Cから空調設備を稼働させて20±

l OCに保持後空調設備を1ヒめ,自然に温度上昇を待

った場合の測定値の変化をLC−1∼LC−4について

示す。試料の設置方法は空間支持である。

260Cから空調設備を稼働させると冷気が流れ込み

(3)

昭和61年度 研究報告 大分県工業試験場

室温が急激に下がるとともに測定値は逆に急激に上 昇し,みかけ上試料が伸びたように表れるが,実際 には試料の温度は一定であり伸びるとは考えられな

いから,これは三次元測定機の方のスケールあるい

はⅩY軸自体が温度が下がることにより収縮する

ためと思われる。室温の下降とともに最初は急に収

縮し時間の経過とともに除々にゆるやかになり,空

調を切った後はゆるやかな室温の上昇とともに測定

値もゆるやかに元に戻ろうとしている。これらは室

温の変化に非常に鋭敏に反応しており,室温の変化

に対して数分で三次元測定機の読み取りに影響を与

えていることがわかる。

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図−4 試料温度を一定にして測定室の温度を変化させた場合

又,試料の設置方向から,三次元測定機のⅩ方向

の測定値の変化を表すLCl 及びLCL3と,Y方向

を表すLC−2とLC−4を比較した場合,約300分間で

Ⅹ方向が14∼15ノJ m

程度,Y方向で約9/J m

変化し

ており,これはⅩ方向とY方向の長さの差を補正し

てもⅩ方向の変化の方が大きくなっている。これは

Ⅹ軸とY軸の構造の相違により温度の影響を受ける

度合いが異なっているものと思われる。

これら三次元測定機自体が温度の変化に非常に鋭

敏に反応すること,又測定方向により温度変化に対

する影響が異なり,測定値に差を生じることは温度

管理の重要性を示すものである。

(3)試料,測定室ともに温度変化を与えた場合

∧∧ 34 一

図5は試料を2日間測定室内に置いた後,測定室

の空調を稼働させた場合の測定値の変化を示す,室

温の変化は図・−4に示すものとほぼ同じである。

試料,測定機ともに同温にさらされるのであるか

ら本来なら温度が変化しても測定値は変らないはず

であるが,試料と測定機の熱膨脹係数や熱伝導率の

違いや,大きさ,形状の差異が当然測定値にも表れ ることは考えられる。

グラブレート上に試料を直接設置して室温を下げ た場合,測定値は上昇しみかけ上試料は伸びており,

(4)

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図−5

試料、測定室ともに温度変化を与えた場合

(5)

昭和61年度 研究報告 大分県工業試験場

空調を切るとゆるやかに元に戻って行く。 試料がみかけ上伸びているのはグラブレートが温

度の影響を受けにくく,直接その上に置いた試料も

温度の影響が少くなっており,Ⅹ軸,Y軸よりも収

縮量が小さいものと思われる。

試料を空間に置いた場合は,試料も直接湿度の影

響を受けて収縮するために,Ⅹ軸方向ではほとんど

測定値に変化がなく,Y軸方向についてはグラプレ

ート上に直接置いた場合とは逆に収縮している。

これらは,ブラプレートが一番温度の影響を受け

にくいこと,今回の試料とX軸の温度変化に対する

影響が偶然おおよそ一致していること,Y軸はⅩ軸

より温度の影響が少いことなどがわかる。 このことは試料の大きさ形状,材質,設置方法, 又Ⅹ軸Y車由の熱変位の相違等の要因が絡み合い,測 定値に複雑な影響を与えることがわかる。

応し数分で測定値に影響が表れる。

(3)三次元測定機のⅩ軸とY軸についても温度の

影響を受ける度合いが異なり,測定方向により測定

値に差が表れる。

(4)試料の材質,大きさと三次元測定機の各軸の

温度変化に対する影響との絡み合いで測定値は複雑

に変化する。

5.おわりに

三次元測定機における温度の影響をみるために, 今回の実験では温度の変化を大きめに設定した。

又,(1)の試料を高,低温度域から恒温室へ搬入し た場合の変化についての試料はワイヤ放電加工機で

通常の条件で穴加工したものであり,それ以後の実

験はさらに治具研削盤で仕上げ加工をしたものであ る。 両者に仕上げ面によるバラツキの相違がみられ

るようであるが,このことについては次回の実験に

ゆずりたい。

この実験に使用した三次元測定機は,日本自転車

振興会から競輪収益の一部である機械工業振興資金

の補助を受けて設置したものである。 4.まとめ

以」二,温度変化が三次元測定機における測定値に 及ぼす影響をみた結果を要約すると

(1)単純な形状なら空間支持の場合ほぼ理論値に 近似した変化を示すが,試料の設置方法,形状によ

りこれは変化する。

(2)三次元測定機そのものが温度変化に鋭敏に反

参考文献

1)浅野友一一一著「熱工学」啓学出版

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